LivesNews 37号 『2023年不動産市況|円安・インフレでどうなる?』

2023年不動産市況|円安・インフレでどうなる?

 

1ドル150円台と、1990年8月以来およそ32年ぶりの円安水準となった為替市場。不動産投資に興味があってこれから始めたいと考えている人、投資を既に始めている人の中には昨今のような円安・インフレの状況下で、どのような不動産投資戦略を立てればいいのかが気になっている人も多いと思います。

 

不動産投資は長期的に安定して資産を増やす投資手法ですが、利益を最大限に得るために短期的な不動産投資戦略を練っておくのも選択肢の1つです。

 

不動産投資と円安・インフレとの関係性、2023年の不動産市況から考える短期的な不動産投資戦略について見ていきましょう。

 

円安とインフレ

不動産投資は、不動産投資ローンを利用することで自己資金が少ない人でも開始しやすい、相続税対策になる、安定した収入が期待できるといった理由から人気があります。しかし、人気がある一方、元本割れのリスクを伴うため、先を見据えつつリスク管理を徹底しながら取り組むことが重要です。

 

昨今はアメリカの景気上昇、ウクライナ情勢における「有事のドル買い」の影響もあって、1ドル150円台と32年ぶりの円安水準となっています。

 

また、円安によってモノの価格が上昇するインフレとなっていますが、不動産投資に円安とインフレはどのように影響するのでしょうか。

 

円安が不動産市況に与える影響

円安とは、日本円の価値が下がって外貨の価値が上がる現象です。例えば、1ドル100円が1ドル200円になったとします。仮にコーヒーが1ドルだった場合には、これまで100円で購入できていたものが2倍の200円支払わないと購入できないのです。

 

外貨を持つ外国人と日本円を持つ日本人では、円安の意味合いが違います。仮にコーヒーが100円だった場合には、これまで1ドルで購入できたものが半分の50セントです。

 

外貨を持つ外国人にとっては、同じ外貨で交換できる日本円が増える、つまり日本のモノを安く購入できます。日本に外国資本が流入しやすくなることで不動産価格が上昇するため、円安は不動産市況にはプラスと言えます。ただし、これから始める人にとっては、不動産の価格が上昇しているため、少しハードルが高いと言えるでしょう。

 

インフレが不動産市況に与える影響

インフレとは、現金(日本円)の価値が下がってモノの価値が上がる現象です。インフレの状況下では、額面は同じでも現金の価値が目減りします。

 

そこでインフレ対策として挙げられるのが、現金(日本円)を現物資産に換えることです。現物資産には、金や株式、債券、不動産などが挙げられます。

 

インフレの状況下では、このような現物資産に換える流れが加速するため、不動産市況にはプラスと言えるのです。

 

円安・インフレは、不動産市況に資金が流入しやすく不動産価格が上昇しやすい状況です。既に不動産投資を行っている人は価格上昇による売却益を狙える可能性もあるため、一度投資用不動産を手放すのも選択肢の1つと言えるでしょう。

 

2023年不動産市況で重要なポイント

2022年は円安・インフレとなっており、既に不動産投資を始めている人にとってプラスの状況と言えます。しかし、いつまでもこの不動産市況が続くとは限りません。

 

不動産投資で安定的な収益を目指すには、2023年の不動産市況がどのように推移するのか予想した上で対策を講じておくことが大切です。

 

2023年の不動産市況を予想する上で重要なのは為替推移とインフレの動向です。

 

為替がどのように変化するのか

円安は輸出企業の業績が向上するため、海外を主な取引先としている日本企業にとってはプラスです。しかし、海外から輸入する商品は円安の影響を受けて価格が高騰します。

 

商品の価格は、円安の影響だけでなくコロナやウクライナ情勢の影響も受けており、国民の生活を圧迫することになるため、日銀は積極的な為替介入を実施しました。

 

その結果、1ドル150円台だった為替も一時は140円を割り込む状況となっており、今後も150円台で積極的な為替介入が実施される可能性があるため、円安に一服感が出ています。

 

2023年は日銀総裁が変わる可能性が高く、政策転換で円高に強く触れる可能性があります。円高の振れ方によっては、外国資本が流入しにくくなる、利益確定売りによって外国資本が撤退して不動産価格が下落する恐れがあるので注意が必要です。

 

不動産投資にとって円高に振れることがマイナス要因というわけではありません。円高で市場に売り物件が出回った場合、現在の高値状態にある不動産価格が落ち着くため、新規に不動産投資に参入しやすくなると言えます。

 

既に不動産投資を開始している人は円安から円高に切り替わるタイミングでの一時撤退、不動産投資をこれから開始する人は円高になるのを待つのも選択肢の1つです。

 

悪いインフレから良いインフレに変化するのか

本来のインフレは、給与・物価・金利の3つが上昇します。しかし、今の日本のインフレは円安によって物価だけが上昇している状況で、給与と金利の上昇を伴っていません。これを悪いインフレと呼びます。

 

日本はバブル崩壊から続くデフレから脱却できておらず、今も外部要因によって強制的にインフレ状態となっているだけです。日本の国力は依然として弱い状態なので、円高に強く推移するとは考えにくいです。

 

しかし、日銀総裁の変更によって政策が大きく転換した場合には、悪いインフレから給与・金利も上昇する良いインフレになる可能性があります。

 

不動産投資が広く普及する要因となった不動産投資ローンの金利が上昇するのは、不動産投資によって大きなマイナスです。新規参入者が減少すると、円高への転換と同様、需要が低下することで不動産価格が下落する恐れがあるので注意が必要です。

 

結論:2023年も不動産投資にとってプラスの市況と予想

2023年は日銀総裁が変わる可能性が高いものの、これまでの政策から180度方向転換する可能性は低いです。依然として良いインフレになる可能性は低く、しばらく悪いインフレと円安の状態が続くと考えられるでしょう。

 

ウクライナ情勢が落ち着くことによる「有事のドル買い」が終わった場合、一時的にドルが売られる可能性はありますが、それも一時的なものであると予想されます。

 

以上の点から2023年の不動産市況を考察すると、円安および悪いインフレの状態が続くと予想されるため、2022年と同様、不動産投資にとってプラスの市況と言えます。

 

ただし、不動産市況が急に変化する可能性があるので注意してください。既に不動産投資を開始している人は円安から円高に転じた場合に備えて売却を視野に入れておく、これから不動産投資を開始する人は買い時の到来に向けて計画を立てておくなどのように、すぐに行動に移せる状態にしておきましょう。

 

投資リスクを軽減するためにも引き続き投資は慎重に

円安・インフレの観点から、2023年は2022年と同様、不動産投資にプラスの市況が続くと予想されます。しかし、不動産投資にプラスの市況が続くと言っても、不動産投資は元本が保証されているわけではありません。

 

資産を大きく減らすリスクと隣り合わせなので、投資リスクを軽減するためにも引き続き慎重に判断することが求められます。

 

投資リスクを軽減するには、為替変動・インフレ動向だけでなく他の要因も考慮することが大切です。

 

日本は少子高齢化による人口減少、相対的な不動産需要は減少傾向にあるという潜在的なリスクがあるため、安定的に需要を確保できる地域での投資を心がけなくてはなりません。

 

また、リモートワークの浸透によって、賃料が安く広い部屋を確保できるなどの理由から、都心から郊外へと需要が移る傾向も見られます。

 

しかし、依然として都心の好立地物件については価格が安定しているため、将来的に価格が大きく下落するリスクは低いと言えます。しかし、上記のような需要の変化も見られるため、需要やリスクを踏まえながら投資先を慎重に見極めましょう。

 

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