LivesNews 37号 『世界のちょっと変わった年越し文化』
世界のちょっと変わった年越し文化
日本では、1年の終わりの日である12月31日を「大晦日」と呼び、大晦日から元日にかけて「年越し」を過ごします。
「年越し」を過ごすのは、日本だけではありません。
各国がそれぞれの「年越し」をイベントとして行っています。
今回は、日本の年越し文化の事情や世界のちょっと変わった年越し文化について解説します。
日本の年越し文化の事情
日本の年越しは、大晦日までに新年を迎える準備を行い、1年間無事に過ごせたことを感謝する考え方が背景にあります。
1年の最初の日の1月1日には、「年神様」がやってくると信じられており、農耕民が多い日本で豊作をもたらしてくれる神様です。
家々に新年の幸せをもたらすために高い山から降りてくるとも言われています。
神秘的な印象のある日本の年越しですが、実際、どのように過ごすのかを具体的に見ていきましょう。
日本の年越しはどう過ごす?風習や食事をご紹介
日本では、年末までに1年間溜まった埃を払う「大掃除」を行います。
神社仏閣で、壁や天井など1年間溜まった煤を払う「煤払い」の光景を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もともと「大掃除」は、江戸時代から取り組んでいた風習です。
単に掃除を行うだけでなく、厄払いをするという意味も込められています。
12月中旬になると、神棚や仏壇、家の中を掃除して年神様を迎える準備をします。
1月1日の元旦に「大掃除」をしてしまうと、新しく招いた年神様まで追い出してしまうため、12月31日までに終わらせることがポイントです。
その他にも、日本人は、大晦日の夜に「年越しそば」を食べる風習があります。
「年越しそば」には、寿命を延ばす意味が込められています。
さらに、1年の厄災を断つという意味もあるので、年をまたがないように食べ終わりましょう。
12月31日の大晦日から1月1日の元日になる午前0時のタイミングでは、「除夜の鐘」を鳴らします。
仏教では煩悩が108つあることから、鐘を108回鳴らします。
カウントダウンのイベントが開催されているところもあるでしょう。
そして、元日には、「おせち料理」と呼ばれる重箱に詰められた縁起物の料理を食べます。
「おせち料理」は年神様にお供えするものであり、1月3日まで料理などの家事をお休みするという意味もあります。
使用されている食材は縁起の良い食材が使われており、保存ができるものが多いです。
年が明けてから初めて神社を参拝する「初詣」の行事もあります。
新しい年も無事に過ごすことができるように参拝します。
日本の年末は、仕事や学校がお休みのところが多く、長期連休になるので、家族そろって年越しを過ごす人が多いでしょう。
世界の年越し文化の事情
日本の年越しをするときの食事や風習についてご紹介しましたが、世界でも国独自の年越し文化が築き上げられています。
どの国も年越しは仕事がお休みの日とは限りません。
世界のちょっと変わった文化や面白い文化を見ていきましょう。
アメリカの年越し文化の事情
アメリカの年越し文化は、「カウントダウン」が有名です。特に、ニューヨークで行われるタイムズスクエアのカウントダウンイベントは人気が高いです。
このようなイベントに参加して、夜の街で多くの人と賑やかに新年を迎えます。
年明けには、近くにいる人とキスやハグをすると幸せな1年を過ごすことができると信じられています。
打ち上げ花火やライブなどのイベントで盛り上がりながら過ごすケースが多いです。
しかし、国土が広いため、全国一斉に新年を迎える訳ではありません。
「カウントダウン」のイベントでも年越しの瞬間の時間は異なります。
例えば、ニューヨークでは1月1日午前0時にハッピーニューイヤーを迎えますが、ロサンゼルスでは12月31日午後9時、ハワイでは12月31日午後7時です。
アメリカ南部では、黒目豆に玉ねぎやベーコンを煮込んだ料理である「ブラック・アンド・ピー」が正月に親しまれている料理です。
「金運アップ」や「健康に過ごせる」という意味が込められています。
「イブ」には、前日や前夜という意味があり、大晦日を「ニューイヤーズ・イブ」と呼びます。
アメリカでは、大晦日の前日、当日と仕事や学校は休みではなく、1月1日しか休みがありません。
日本ほど、年越しの行事が多い訳ではなく、普通の祝日として過ごす人もいることでしょう。
イタリアの年越し文化の事情
イタリアでは、1月1日の直前になると広場などで爆竹を鳴らしたり、大量の花火を打ち上げたりして、派手に新年を迎えます。
大きな音を立てることで、悪魔や悪霊を祓うと信じられている背景があるからです。
ナポリ地方は、年越しに古いものを壊す風習もあります。
自宅の窓から不要なものを投げ捨てるというような過激な年越しです。
これらの風習以外にも、真っ赤な下着は開運に繋がると言われており、年越しになると赤色の下着をプレゼントしたり、身に付けたりします。
イタリアの年越し料理は、豚足ソーセージ(ザンポーネ)や腸詰ソーセージ(コテキーノ)、レンズ豆が欠かせません。
豚は幸運のシンボルであり、レンズ豆は硬貨を表わしています。
年越し文化が過激で派手なイタリアですが、1月2日からは平日となり、通常の日常が戻ってきます。
中国の年越し文化の事情
中国の年越し文化は、1月1日に行われる訳ではありません。
旧正月に基づき、中国では、「春節」と呼ばれます。
「春節」の日は、毎年異なり、2023年は1月22日です。
この時期になると、赤色は「福を招く色」のため、「春節」のときに赤色の提灯や家の入口に縁起の良い言葉が記載された「春聯(しゅんれん)」という赤色の紙を飾ります。
そして、水餃子を食べる「年越し餃子」があります。
餃子が昔のお金である「元宝」に似ていることから、金運に恵まれるという意味です。
中国の春節の時期は、約7日間連休となり、お仕事や学校が休みのところが多いでしょう。
デンマークの年越し文化の事情
デンマークの年越し文化は、玄関先にお皿やカップなどの食器を投げつける風習があります。
食器を割ると幸運が訪れると信じられており、割れた食器が多いほど人脈に恵まれていることになるでしょう。
そればかりか、新年を迎えるときに椅子やソファーからジャンプをして新年を歓迎する風習もあります。
アメリカやイタリア同様にデンマークも1月2日からは通常の日となります。
イスラエルの年越し文化の事情
イスラエルの年越し文化では、蜂蜜やりんごなど甘いものが欠かせません。
蜂蜜は蜂から作られるのではなく、ナツメヤシ由来の蜜が使われます。
甘いものを食べると、幸せな1年が過ごせる願いが込められており、街中で蜂蜜を見かけることになるでしょう。
そのうえ、祝日を祝うときは白い服を着る風習もあります。
白い服の買い占めが起こり、お店に白い服がなくなるケースも考えられます。
新しい年が良い年になるように願って年越しを過ごそう!
日本の年越し文化の事情や世界のちょっと変わった年越し文化について解説しました。
世界各国でそれぞれの年越し文化が行われており、新年の迎え方も異なります。
新しい年が良い年になるように願って年越しを過ごしましょう。
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